おかぴーのFIREへの道

FIREを夢見るおかぴーの生活便利日記です

【サルでも分かるファイナンス】資本コストについて

皆さん、こんにちは。おかぴーです。

 

今日は、ちょっとビジネスのお話です。自分はお仕事で投資関連の仕事をしています。

なので、たまには投資・ファイナンスの話を、このブログでも取り上げさせてもらえばと思ってます。

 

今回は、その投資に関する基本的な概念である「資本コスト」について説明しようと思います。

 

何故、資本コストについて話をするのかって?それは単純に、ファイナンスや投資の初心者の方には、なかなか理解しづらい概念であり、ここを理解しておかないと、前には進めない超〜重要な概念だからです。

 

自分も初めて資本コストの話を聞いた時は、何のことやらさっぱりわかりませんでした。

 

自分は、数年前にビジネススクールに通っていた時に、初めてこの資本コストという概念に触れました。

 

それからかれこれ資本コストとは、数十年?の付き合いになります。この資本コストひとつで、バリュエーション時の企業価値がガラッと変わってしまうので、まさにマジックな概念なのです。

 

それでは「資本コスト」とは何ぞや、について説明します。

 

資本コストは、超〜単純に言っちゃうと、「会社が事業に必要なお金を調達する時に必要なコスト」のことです。

 

皆さんの中で、お金の調達というと、まずは銀行からの借り入れが頭に浮かびますよね?

 

勿論、銀行からの借り入れは、資本コストの一部を構成します。ただ、実際は、資金調達って、銀行の借り入れだけじゃないんです。

 

例えば貴方が自分で起業する時に、知り合いやご両親からお金を借りたとしましょう。

 

もしこのお金が、後々、返済の義務があるのであれば借入になります。一方で、このお金が親から頂いたもので、親族が「もう返ってこないものとして貸すから。」みたいな感じで返済義務がないものだとしたらどうします。

 

そう、それは親族からの出資ということで、負債ではなく、資本になり、表面的にはタダでお金を調達したお金のように見えてしまいます。

 

でも株式による調達も、実はタダじゃないんです。日本は銀行さんの影響力が強い国ですので、借入のコストは金利・利息という言葉でイメージしやすいのですが、株式のコストって何?って経営者って意外と多いんです。

 

例えばですが、上記の出資金を株式で払い込んだとしましょう。

 

で、もし貴方の会社がそれなりに成長して、配当を株主に分配できるようになったとしましょう。

 

それって、親である株主からしたらリターンですが、一方で会社から見ると、お金の流れは、会社→株主なので、会社側からみるとコストになりますよね。

 

なので、株式市場全体でみると、配当や株の売却によって得られるキャピタル・ゲインなどの、株によるリターンは、会社の立場からみると、表裏一体で、コストという考え方もできるわけです。

 

例え返済義務がない資金を一時的には得たとしても、長い目でみると配当などのリターンという形で、調達コストを投資家にお支払いしているのです。

 

なので、お金を調達する時は、どんな形であり、そこにはコストが発生し、これを、ファイナンスの世界では、資本コストと言います。

 

ファイナンス、特に企業のファイナンスでは必須の概念ですので、是非、このブログで覚えちゃって下さい。

 

では、この資本コストって、どのような場面で利用されるのでしょうか?

 

1番よく使う場面は、M&Aの時の企業価値算定でしょうか。

 

皆さんもDCFという言葉を、一度は耳にしたことがあると思います。これはディスカウント・キャッシュ・フローの略です。

 

事業から生み出されるキャッシュ・フローをディスカウントして、企業価値を算出するのです。

 

次に、「ディスカウント」ってどういう意味?という疑問が湧いてくると思います。

 

「ディスカウント」って言うと、ディスカウント・ストアの値引きとか、安売りとかそういう発想を守られる方もいるかと思います。

 

でも、ここでのディスカウントの意味は「割引く」という意味で使ってます。

 

DCFは、会社の価値を、将来の事業計画から想定されるキャッシュ・フローから、時間的価値を割り引いて算出するのです。

 

この時間的価値を割引く時に使うレートが、ディスカウント・レート、つまり資本コストになります。

 

まずここで皆さんの中で、2つ疑問がわいてきたかと思います。

 

1つ目は、なぜ、キャッシュフローを「割り引いて」いるのか?

2つ目は、なぜ、ディスカウント・レートに資本コストを使っているのか?

 

1つ目の疑問に対する回答ですが、超〜簡単に言うと、1年後の100円は、今の価値でいうと100円ではないからです。

 

理論を単純化するために、日本の10年物国債金利を1%としましょう(本当は違いますが・・・)

 

これは、この国債を買ったら、ノーリスクで1年後には、1%の利子がついてきて、価値が101円になることを意味します。

 

つまり、逆に考えると1年後に100円になるものの現在の価値は、

 100円 ÷  (1+1%)= 99.009901円になるのです。

 

 これと同じ考え方で、事業から生み出される将来のキャッシュ・フローは、ディスカウント・レートで割引く必要があるのです。

 

なので、2年目は(1+1%)^2 =102.01%で、割引する必要が出てきます。

どうですか?皆さん。お分かりになりましたでしょうか?

 

次に2つ目の疑問に移りましょう。なぜ、ディスカウント・レートで資本コストを使うのでしょうか?

 

これも超〜簡単に説明すると、資本コストは、会社が資金調達した時の調達コストなので、最低でもそれを上回る利回りを投資家は求めるからです。

 

例えばある事業をするために、起業家がエンジェル投資家から100円を調達しました。資本コストが上記のように1%だとします(実際に1%であることはありませんが…)

 

この場合、投資家目線になった時、最低でも1%以上のリターンがないと、投資家はお金を出資しませんよね?だって元本割れしちゃいますもん・・・

 

例えば1%で調達してきた資金が、一年後に0.5%の利回りしかなく100.5円ならなかったとしたら…

 

調達コストと投資元本を考えた時に、

調達時:101円(100円+1円)

1年後:100.5円(=100円 ×(1+0.5%))

となり、▲0.5円のマイナスになっちゃってるわけですよ。

 

なので資本コストをディスカウント・レートで使うのは、企業がお金を調達して、実際に事業をしたり、運用した結果、ちゃんとした利回りが確保できているかの目安である、という意味合いがあるのです。

 

実務的には、M&Aの判断とかをする時に、資本コストに数パーセント(1〜2%)プラスして、投資判断の基準としている会社もあるようです。

 

なので、定量的な投資判断として、資本コストは大変重要で便利な概念なのです!!

 

皆さんのお仕事の一助になれば幸いです!おかぴーでした。